21歳で大手証券マンと結婚して
50歳で
「これからは一人で生きていってちょうだい」
と、
慰謝料も何もなく放り出されるまで
ある意味安穏と暮らしてしまった私が
本当に独りになって1年が過ぎた。
親は生きているが
私の顔も名前もわからない認知症の母親と
ヨレヨレで子供を必死に頼りにしている父親が
借金をかかえて実家に帰ってきた弟と共に
離れた場所で暮らしている。
今日、その母親が施設に入った。
自宅での介護は限界なのだと言う。
昨日、私は母に会いに行った。
最初ほとんど表情のなかった母が、一緒に過ごすうち
生き生きとしていくのがわかった。
「嬉しいね~」
母は笑ってそう言った。
「もう何もわからないから」
と言われたけど
「嬉しいね」と母は言った。
あんなに父のそばを離れたくないと言っていたのに。
今、淋しがっていませんように。
本当に何も感じなくなっていてくれた方がいい、
と思った。
いろんなことが無性に悲しくて仕方がない。
明日は元気が出ますように。