50代の強制断捨離「したかったわけじゃないんだけど!」

サラリーマンの妻として結婚30年。
半世紀を生きてきて、そろそろ余生を・・・なんて考えていたら、いきなり家も夫も子供もいなくなってしまいました!
あれ?こんな人生想定外!
「もっと若ければ」と思いながらも、おばさん生きていかなくちゃ。いや、生きていかなくてもいいのか?と葛藤しながら、それでもお腹がすくからよく食べる。
よくわからないけど生きています!

もっともらしくウソをつき

7年前に建てた家を手放す、なんて

誰がどう考えても、何かあったから、に違いないだろう。


何もなかったように、など、どうやったらできるんだろう。


「親の介護のために、実家を直して、向こうに住むことにした。

そういうつもりではなかったけど、長男の弟がわけあって家を継げなくなった。

なので、とても残念だけど、改築資金のために家を売るのよね。」


どうだ、これなら、大変だけど、あり得ないことではない。

誰もがある、よくあることだ。


親の介護が始まったのは、本当だったし。


教室の荷物を仕事場として借りたアパートへ運び、私と娘の荷物を少し離れた1LDKへ

運んだ。悲しくて悔しくて、涙も出なかった。


家から新しい住処までの道沿いは長い桜並木。

最後に夫を残して家を出た時、

ちょうど満開になろうとしていた。


隣の娘に「キレイだね」と言ったけれど

その時の私は、キレイという気持ちなんかすっかり忘れていた。


大好きだったあの家を出てから、3年半がたつ。


凝った造りの注文住宅は、たたかれてたたかれて

半年後にやっと売れた。

ローンはなんとかちゃらになったけど、本当になんにも残らなかった。


あれからも、仕事で近くを通るけど、

まだ一度も家の前の道を通ったことはない。


引っ越してすぐに植えたバラの花、とてもよく育って大好きだった。


後で誰かが「全部抜かれていたよ」と教えてくれた。