50代の強制断捨離「したかったわけじゃないんだけど!」

サラリーマンの妻として結婚30年。
半世紀を生きてきて、そろそろ余生を・・・なんて考えていたら、いきなり家も夫も子供もいなくなってしまいました!
あれ?こんな人生想定外!
「もっと若ければ」と思いながらも、おばさん生きていかなくちゃ。いや、生きていかなくてもいいのか?と葛藤しながら、それでもお腹がすくからよく食べる。
よくわからないけど生きています!

頭がどうにかなれる人は幸せだ~母への思い~

私の母は現在認知症がどんどん進んでいる状態。

週に一度は親の住んでいる家に行くのだが

毎回私の名前を忘れている。


父は心臓病を抱え、つい半年前に腎臓がんで摘出手術をしたばかり。


そんな状態ながら認知症の母と二人暮らしでかなりのストレスを抱え、

毎日のように電話をしてくる。

介護自殺一歩手前の日もある。


もはや自分のことで精いっぱいで、私の身に何が起きているかなど

考えも及んでいないだろう。


二人とも、次女次男(ほぼ環境的には末っ子に近い)

甘え上手で、誰かが手を貸してくれるのは当然だと思って生きてきた人だ。


私?私は長女です。嫌だな、長女って。


母の認知症は、私にとってそれ程衝撃的なものでもない。

だって、私が子供のころからこの人はこうだった。


ストレスがかかる状況になると

すぐ心があっちへ行ってしまって、まともでない状態になる。

お酒をのんでメロメロになって泣いてばかりいる母を横目で見ながら私は育った。


夜中に包丁持って枕元に座っていた時は

さすがにやばいと思って

家じゅうの包丁を縁の下に隠した。

10歳くらいの頃だ。

(あの後、まともに戻った母はきっと包丁がなくて困っただろうが

そのことは覚えていない 笑)

ああやって、すぐどうにかなれる人はある意味幸せだ。


私もうつ病とかになって

「もう働けない、何もできない」

ってすべてを放棄して、誰かに助けてもらいたい。


酔っぱらって正体なくしてみたい。


が、ならないんだこれが(笑)

酒、強すぎる!


今の母は幼稚園児のようでかわいい。

このようになると人は、

その人の人生の最も大切な、素直な気持ちだけを残して

あとは捨て去ってしまうのだと感じた。


母の人生は寂しかった。

結核になってしまった母親のそばに寄ることも抱かれることも許されず、

7歳の時にそのまま母親を見送った。

それが彼女の一生にずっとついてまわった。


今、母は眠る時も父の手を離さない。

父はそりゃ大変だが(笑)

うんち漏らしても、今の母が、今までの中でいちばん素直に好きだと思える。

たぶん、今が一番母の心が穏やかなのを感じられるからかもしれない。


何十年もの確執、複雑な思い、

そんなものも、もうぶつける相手がいなければ

捨て去るしかない。

幼女になった母の前で、私は大きな荷物を断捨離したような気がする。