50代の強制断捨離「したかったわけじゃないんだけど!」

サラリーマンの妻として結婚30年。
半世紀を生きてきて、そろそろ余生を・・・なんて考えていたら、いきなり家も夫も子供もいなくなってしまいました!
あれ?こんな人生想定外!
「もっと若ければ」と思いながらも、おばさん生きていかなくちゃ。いや、生きていかなくてもいいのか?と葛藤しながら、それでもお腹がすくからよく食べる。
よくわからないけど生きています!

気づいたら、ワタシ、おひとりさま!?

ガラーンとした部屋で

ガラーンと、ポカーンとしたココロの私。


とうとう、独りきりになってしまった?

?が付くのは、どこかで

「これは夢だ」

と思っているから。


娘と家を出て別居をしてちょうど3年。


自立しなければと言いつつも、

あがきながらも、

どこかで信じていた。


夫が立ち直ってまた仕事をするようになって、

また3人で一緒に、元のように暮らせるようになると。


しばらくグダグダしていた夫も、

少しずつ、動き出し

いくつか仕事を変えながら、

何か、やっと、やりがいのあるものにたどり着いてきた感じ、、?

になってきたのに。


でも、たとえ夫が立ち直ったとしても

それは、もうない。


娘がいないんだ。


そういう展開があったんだ、ということに気づかなかった。


一緒にお店をやろうとかいう夢も、

マンション買おうね、なんて話も、

たぶん、いや、もう絶対、ない。


彼女がそんなに急いだのは、

やはり、私たちの元を離れたかったのか。

私が、ちゃんと守ってあげられなかったからなんだろうか。


どれを考えても、涙が出てくる。


いろんなつっかえ棒が

全部ダ~ッと倒れてしまったかのように。

腹の底がヘナヘナする。


今度こそ、私は心が折れまする・・・!

でかしたぞムスメ~そして誰もいなくなった~

結婚を前提に一緒に住みたいと言う。

21歳。私が結婚した年齢だ。

今時、早いと周りは思うだろうけど、

そういや、私も短大の同級生の中では早い方だった。

その件に関しては何も言えない(笑)


彼の名前は聞き覚えがあった。

高校の同級生だ。


なんと!?、、、あの子ですか。


娘の高校は3年間クラス替えがなかった。


入学してきた時から、

「今年はとても頭のいい子が入ってきた」

と言われていた生徒で、

性格も温厚で皆にとても好かれていた爽やか君だった。

自己主張はあまりしないけれど、いわゆる皆の輪の中心にいるような、人気者。


「あんな子と娘が結婚してくれたらいいのにな~♪

 ま、成績も性格もパッとしないわが娘とは、縁がないからそれはないけどね。」

と冗談で言っていた彼、そのカレの名前だった。


その後の彼は、大学でもよい成績をおさめ、よい会社に就職が内定していた。

しかし、地方の工場勤務になるそうだ。

で、「ついてきてほしい」と言われた、んだそうだ。


で、でかしたぞ!娘!

いったいどこでそんな女子力を発揮して!!

と言いたいところだが、


あまりの展開に私は現実が受け入れられなかった。


「だって、だって、あんたずっと 結婚なんか興味がない、みたいなこと

言ってたじゃないの!」


そんな言葉を信じる方がバカだ。そうですね、はい、まったく・・・。


でも、娘の言うことも、急すぎて信じられなかった。


だって、まずはお付き合いして愛をはぐくんでそれから結婚・・・って

行くもんでしょ?それに今の子はあまり結婚したがらないとか言うって・・・。

第一、全然男っ気がなかったのが、何なのその展開の速さは!!


信じられないとか言っているうちに、あれよあれよと半年が過ぎ、

3月、本当に、本当に、娘は自分の荷物を積みだして

彼と引っ越して行ってしまった。

新入社員なので、式は後でお金をためてからやりたいと。


二人の新居は地方ならではの3LDKマンション。

今、私と住んでいる1LDKより広くて明るくて駅にも近い。


彼は、大人になってもやっぱり温和で優しい、いい人のようだ。

片親で、苦労をしているので、経済管理もしっかりしている。

きれい好きで料理もうまいんだって・・・。はああ~~

も、申し分ないじゃありませんか・・。


向こうが望んで、ウチのバカ娘を連れていってくれたんだ。

彼女にとって、きっと幸せな結婚になるに違いない。


こんなうれしいことはない、のに。


娘が引っ越していった夜、

彼女の荷物も無くなった、すっきりした部屋で、

独りきりになった私は大声で泣いた。


一晩中泣いても、涙がとまらなかった。

むすめよ、さようなら

家を出てからの生活も何とか2年を過ぎた----。




子供の頃からずっとずっと

「私はずっと結婚なんかしないと思うよ」
と娘は言っていた。


娘はいつも私と一緒にいてくれた。

ものつくりの好きな娘と

いつか一緒にお店をやろうね、と

夢を話すことが、私の一時の幸せで、支えでもあった。


アスペルの父親と

自立にアップアップしている頼りない母親。


激動の人生に一番苦しんだのは

もしかしたら娘かもしれない。


兄弟姉妹がいれば、少しは分け合えた苦しみも

ひとりっこの彼女は、自分の中に押し込んで耐えたのだろう。


周りの同級生たちが

のん気に大学生活を楽しんでいるのを見ながら

生きるために、彼女も一生懸命働いてくれた。


きっとたくさんのことを学んだろう。


バイト先でいろいろな人とも出会って、

生きていくことの厳しさと哀しさも知ってしまったのだろう。


二十歳前の彼女に酷なことをしてしまったのかもしれない。


でも、それだからこそ

彼女はとてもきれいになった。

魅力的な女性になったのかもしれない。


そんな試練も彼女の人生だったのかもしれない。


ある日、、、

「私、彼と暮らすことにしたから、この家を出ていくから」

と娘は私に言った。